2019年7月30日火曜日

立山開山の伝説を伝える『玉殿の岩屋』

「白鷹も熊も、すべてはお前にわたしの思いを託すため。
この尊い山に多くの人が信仰をささげられるよう、
お前は僧になってこの山を開きなさい」
~立山の昔話より一部抜粋~

立山を開山したとされる佐伯有頼が、
このお言葉を聞いた場所とされるのが玉殿の岩屋。
阿弥陀坐像1体と羅漢像数体が安置されています。
今でこそ年間約100万人近いお客様にお越しいただいていますが、
伝説によると約1300年前に少年有頼によって、
この立山は開山されたそうです。開山伝説は👉こちら
その舞台となっている玉殿の岩屋へ足を運んでみました。
玉殿の岩屋へ行くには立山室堂山荘の近くに案内板があります。 
 歩き初めてすぐに雪が残っており、平らな道ですが、
土と雪の境部分が空洞になっているため、踏み抜きにご注意下さい。
玉殿の岩屋へは室堂山荘から10分程で行けますが、
みくりが池1周の散策道のように舗装はされていません。
雪は最初の部分以外に残っておらず、このような道を歩きます。
岩屋を構成するのは、
立山火山が噴出した溶岩が冷却する際にできた板状摂理。
そんな岩場に咲いていたのが、
茎葉をヒゲにみたてて名付けられた『イワヒゲ』
玉殿の岩屋の手前にも、もうひとつ洞窟があります。

こちらは虚空蔵窟というもので、石台があり、
十六羅漢や石地蔵が十数体祭られています。
そしてこの立山開山の由来が描かれているのが立山曼荼羅。
立山信仰を全国に布教するために使われた絵画で、
他にも、立山地獄や、女人救済儀礼・布橋灌頂絵などの様子が描かれ、
絵解きを行って立山信仰を広めていきました。

ちなみに、この開山伝説の主人公佐伯有頼の立像が
室堂駅の階段の途中にありますのでそちらもお見逃しなく!!
立山の自然だけでも圧倒されますが、立山曼荼羅や立山の伝承に触れ、
歴史を知ればまた違った面白さがあると思います。
ぜひ立山の歴史も知りながら
立山黒部アルペンルートを楽しんでいただけたら嬉しいです😉

しおみん

2019年7月28日日曜日

東一ノ越方面は現在お花畑

台風6号は熱帯低気圧になったようですが、
室堂は残念ながら朝から雨が降っています☂

前回一ノ越から母恋坂を歩いた際に、
東一ノ越へも足を延ばしてみました👣(撮影日7月24日)
東一ノ越とは、一ノ越から黒部ダムへ歩く道の途中にあります。
左の真中に一ノ越山荘があり、
右方向へトラバースルートがありこちらを歩きます。
歩き初めてすぐ後ろを振り返ると、
カラフルなお花と一ノ越山荘。
ハクサンイチゲのお花畑と龍王岳。
コバイケイソウと立山。
東一ノ越へはトラバース道となっており、アップダウンはそれ程ありません。
しかし、ルート内にはまだ雪渓が3ヶ所残っており、
トラバースする傾斜が急なので、十分注意して歩いて下さい。
約1時間程で東一ノ越到着。
大観峰の駅と黒部湖が一望👀
レアなアングルから
ロープウェイが大観峰駅に到着するのを激写📷
左から、獅子岳、鬼岳、龍王岳。
『タカネバラ』と『タカネシュロソウ』
道中見られたお花。
左上から時計周りに『クルマユリ』
『エゾシオガマ』『チシマギキョウ』『タカネツメクサ』

他にもイワカガミ、ゴゼンタチバナ、ツガザクラ、ハクサンフウロ等々
多くのお花が咲いており、またチングルマの蕾も沢山みられたので、
当分お花畑がお楽しみいただけると思います😉


黒部平へ下る道はまだ急斜面にまだ雪が残っていそうでしたので、
もう少しお待ちいただくのが良いかと思います。

東一ノ越へは一ノ越から往復2~3時間ですので、
お時間に余裕がある方は足を運んでみてはいかがでしょう。

しおみん

2019年7月27日土曜日

高山植物観察会 in 室堂平★

本日、立山自然保護センター主催の「高山植物観察会」に参加してきました。
講師は、日本海植物研究所 佐藤卓(さとうたかし)先生。

最初に立山自然保護センター1Fにて、1時間程、講演をお聞きしました。
その後にフィールドに出て、室堂山荘周辺まで散策に。


今日、特に目からウロコだったのが、コバイケイソウについて。
なんと、コバイケイソウは上下(茎からのびている花と、枝分かれしている花)とで、花が違うのだそうです。

まずは全体像


う~ん、同じにしか見えない…
ということで、上のほうをアップで。


上部

つづいて、下のほうをアップで。

下部


お分かりいただけましたでしょうか…?

写真だと伝わりづらいのですが、
上の花はぷっくりとしたものがついていますが、
下の花にはついていません。

もういちど全体像を見てみると、たしかに、上下で違う花をつけているのがわかります。




上部は花粉を受け、実をつける
下部は花粉を飛ばす(実はつかない)
1本の花にして、完全に役割分担をしているのだそうです!

自家受粉を避けるためでしょうか…?
(分かる方、教えて下さい!)
写真を撮るのに夢中で先生に聞きそびれてしまいましたが、植物はなんとも巧みですね。

こんなに綺麗なコバイケイソウですが、💦がありますので触らないようにしましょう!
花ことばの通り、「遠くから見守っています」ぐらいの距離感がよいのでしょうか。

昨年2018年はコバイケイソウが咲き乱れ、いわゆる"当たり年🎉"だったそうです。…とはいえ、今年も室堂山荘の周りにたくさん咲いておりますので是非足を運んでみて下さい♪


観察会の際、高山植物のガイドブックを見ながら散策したのですが、なんと著者は佐藤卓先生!

『花のアルペンルート立山―フラワーウオッチングガイド 』


室堂平にカモフラージュしそうな表紙
本はお花の色別に構成されており、
またどんな花の形かを右上のアイコンを見ることで
直感的にお花探しができます。

観察会中も、この本が欲しい!と言う方が多かったため、購入先リンクを載せておきます。
👉お買い求めはコチラ👈

観察会の様子。
シナノキンバイをじっくり観察中!

今年はあと2回、おもしろそうな講演会・観察会がありますよ★
定員は30名となりますので、お早目のご予約を!
詳細は👉こちら

なつんこ

2019年7月26日金曜日

⛰称名滝〜大日三山〜室堂⛰梅雨明け最初の山行!

北陸地方が梅雨明けした24日に
大日三山を縦走してまいりました!

大日岳へ向かう途中、大日平を見下ろして
(写真撮影日:2019年7月24日)


 大日岳(2501m)は山頂に、真言密教の本尊である大日如来が祀られています。古い時代の修行者たちは、立山山麓から、大辻山、七姫山、臼越山、前大日岳、早乙女山、を経て、大日岳、中大日岳、奥大日岳と進み立山を目指したそうです。

古くは剱岳を拝むための大切な山だったそうで、大日岳の山頂からは平安時代に作られたとされる錫杖が見つかっています。

大日岳への登山口は称名滝の少し手前にあります。

滝の音を聞きつつ坂を登りますが、
時々その姿が見えることもあります。

 最初の坂を登りきると大日平へ出て視界が開けます。
ここからしばらく木道を歩きます。

右手に大日岳が見えています。

大日平小屋側から「不動の滝」を眺めました。

奥に見える滝が「不動の滝」です。

大日平を超え、どんどん登ってまずは大日岳を目指します。


蒸し暑かったので水に手を浸し
涼をとりながら登りました。

 大日小屋から大日岳山頂まではまだ少し雪が残っていました。
山頂へ到着する頃、ガスが上がり周囲の山々や大日平は雲の中に。そのまま中大日岳、奥大日岳へと進みました。

中大日岳を越えてすぐの七福園✨

 この時期、高山植物の様々な花が咲いていて、群生する様子に立ち止まっては写真を撮ったり、少しガスが晴れると稜線や称名渓谷、遠く弥陀ヶ原、天狗平までの高原バスの道路が見えたりと楽しく歩きました。

時々ガスが晴れて雨上がりの
青々とした山を眺めることができました。

称名渓谷を挟んだ奥に弥陀ヶ原、
正面が立山、室堂方面です。

 立ち込めたガスは薄れたり、濃くなったり、刻一刻変化し、そのたびに景色が見えたり、隠れたり無常を体現していました。

 奥大日岳を過ぎ、室堂乗越を目指して進んでいると・・・。
やっぱり出会いました、雷鳥家族。
お母さんと一緒に砂浴びをしていました!


親子は登山道にいたので、近づきすぎずに
離れていくまでしばらく待ちながら観察しました。


 雷鳥沢のテント場が見える頃、正面に立山を見ることができました。

遠くに色とりどりのテントが見えています。

 アルペンルートで働き始め最初の場所が弥陀ヶ原でした。
弥陀ヶ原からは日々、大日三山を見ながら過ごしていました。今でもこの山域で一番好きな山です。

この日見られた花たち


 長く静かに歩ける登山道は、季節を変え、何度も歩きたい道だと思います。夏はもちろん、秋の紅葉の時期もとても美しいところです。

Seedless ✨(シードレス)


2019年7月25日木曜日

2019年 雄山神社峰本社 例大祭

本日、雄山神社峰本社で毎年恒例の例大祭が行われました。

例大祭とは神社で毎年行われる祭祀のうち、最も重要とされるもののこと。

詳しく知りたい…という方は
昨年しおみんが詳しくレポートしてくれているので、ご一読ください。⇒コチラ

私は弥陀ケ原のスタッフとともに雄山へ上がりました。
登頂するとまもなく、10時頃より例大祭が開始。
雄山神社峰本社前は、所狭しと、一同集結した立山の関係者でいっぱいに。


関係者ひとりひとりが玉串奉奠を行いました。
ホテル立山 支配人をパシャリ📷
たくさんの御献酒
天空にそびえたつ雄山神社峰本社。
例大祭中、ぱらぱらと雨が降りましたが、まもなく晴天に。
雄山神社峰本社前に敷き詰められている数々の石。
石にお願いごとを書いて、登山客が下界から運んでくるのだとか。

厳かで、身の引き締まる例大祭の後は、直会(なおらい)へ参加させていただきました。
直会とは、神社に於ける祭祀の最後に、神事に参加したもの一同で神酒を戴き神饌(しんせん)を食する行事(共飲共食儀礼)。出展:Wikipedia


冷え切った体に染みわたる、あったか~い豚汁。
ビール2杯に日本酒を少しだけ、いただきました。

日本一ありがたい(?)豚汁をいただいた後は、後ろ髪を引かれながら、雄山を後にします。
すると、待っていたのは…

酔いも覚める夏の雄山名物?雄山渋滞★

「これが噂の…」と思いつつ、
先日ネパールの方々が登りと下りの登山道を分けて整備してくださったおかげで、以前よりも混雑が緩和されたのではないでしょうか。

その時の様子をネパールミュージック(?)と共にどうぞ。



様々な人によって支えられている立山。
それか、立山が支えてくれているのか…?
大変ありがたい気持ちになりました。

この先も、立山がますます発展していきますように。

なつんこ

2019年7月24日水曜日

一ノ越までの道&母恋坂の残雪状況は!?

本日多くの地域で梅雨が明けたとみられるという発表があり、
ここ室堂も久しぶりに朝から青空が広がりました☀

梅雨が明けると本格的な登山シーズン到来です!!
ということで、一ノ越までの残雪状況をチェックしつつ、
帰りは母恋坂から地獄谷代替歩道を歩いてきました。
朝は登山の格好をしたお客様がたくさんいらっしゃいました。
室堂山荘を過ぎてすぐに1ヶ所目の雪渓がありますが、
平坦であるため特に問題なく歩く事ができます。
2ヶ所目の雪渓は踏み後が石畳上になく、
雪渓終わりの部分で少し急な下りとなっているため、
滑らないようご注意下さい。
その後も時折雪渓があり、全部で6ヶ所程雪が残っている場所がありました。

こちらの写真で雪渓が4ヶ所あるのが分かります。
一ノ越への最後の雪渓。
室堂平を見るとほとんど雪がとけ、緑が広がっています。
一ノ越山荘ごしの雄山。
学校行事での登山も始まっており、
写真のように列ができることもありますが、
無理な追い越し等なさいませんよう、
譲り合って登山をお楽しみ下さい。

ノ越からの帰りは、祓堂付近から雷鳥沢キャンプ場へとつながる道を
途中まで歩いてみました。地獄谷代替歩道と交わるところまでに
1ヶ所雪渓が残っていましたが、特に問題なく歩けると思います。
通称母恋坂。こちらの看板が目印です。
分岐してすぐは石がゴロゴロしており、
道が分かりにくいかもしれませんが、
石に印がついているためそれを目印に進んで下さい。
左下に室堂への分岐、
右の真中に雷鳥沢キャンプ場が見えており、
分岐以降も雪は無さそうに見えます。
朝は青空が広がっていましたが、お昼を過ぎた頃にはガスに覆われていました。
やはり登山の基本は早出早着ということでしょうか。
ガスが出ると道にも迷いやすくなりますので、ご注意下さい。

待ちに待った夏山シーズン!!
多くのみなさまが安全で楽しい登山をできますように😍

しおみん